2020/07/04 20:46

ムネアツシです。

今回は僕の絵の「背景」の
作り方についてのご紹介。

「背景」と言っても
作品作りのバックグラウンドとか
制作ストーリー秘話を語る方ではありません。

いわゆる「下地」のことです。

ぼくは自分の

これまで描いてきた絵に
経年劣化によって出来た
キズ感・ヨゴレ感のあるものや
日焼けした古紙の様な背景を多様してきました。

こんなやつね。



有難いことに個展や展示会で
ぼくの絵を見てくださった沢山の人から

「この背景はどうやって描いているの?」

と聞かれることがあります。

もちろん説明させて頂くのですが

「ベニヤパネルにジェッソという
絵具みたいなやつを何度も重ねて
その後紙やすりで削ってね、、、」と

なかなか言葉で説明するのは難しい。
一生懸命伝えるのだけど
聞いている方のリアクションを察するに
あまりピンと来ていないようだ。

ただぼくとしてはしっかりと伝えたい。

知って欲しい。

なぜならばぼくの絵を描く全体の作業量に対して
この背景・下地作りには
約7割ほど時間と労力を費やしているからだ。

実際に線を引く、色を塗るなどの
「絵を描く」作業はほんの一部。
この背景作りに納得がいかなければ
イチからキャンバスを潰していき、
思い描く柄・傷・汚れ感が出せるまでは
何度も繰り返していく。

つまりぼくの作品の本体は
この下地背景の制作であり、
「こだわり」が詰まっている
研究の成果なのだ。

なのでこの場をつかって
背景づくりの背景を解説していきたいと思います。
そしてぼくの作品を見ていただけるときには
このシリーズを読んでもらえた前と後で
少し違った楽しみを
見つけてもらえたら有り難いと思っております。

なおぼくのこの作り方は
あくまでもネットで調べたことや
他の作家の方へ教えていただいての
試行錯誤を繰り返した独学ですので
正直方法として正解なのかはわかりません。
そしてもっと効率の良い方法があれば
是非教えていただきたいです。


ではではいってみましょう。


通しの工程としては

①木の板を用意する
②ジェッソを塗る
③乾かす
④ ②と③を繰り返す
⑤削る。ひたすら削る。

という順序になります。

ぼくが支持体として
使っているのがこのような
ベニヤパネルです。
画材屋さんへ行けば
キャンバス売り場と並んで
普通に売っているものです。
今回はS2号(272mm×272mm)の
小さめのサイズです。

まず下準備として支持体のベニヤパネルに
水溶性シーラーという塗料を塗っていきます。

急にアートとは無関係なさそうなツールが登場

どっちかというとジャンルは建築じゃん。

水溶性シーラーとは
主に建築外壁などに塗装する際に使用する
塗料の吸い込みを抑えるための
下地塗料です。ホームセンターの
建築塗料コーナーに置いてあります。

なぜ絵具でなくコイツを使うのかといいますと

シーラーを使わずにベニヤ板へ
直接ジェッソを塗り始めてもいいのですが
そうすると板がジェッソを吸いこんでしまい
ジェッソの塗り重ねる「層」を作るのに
膨大な時間を要します。

そんな後の工程を楽にしてくれる
便利ツールなのである。

シーラーを塗ったうえでの耐用年数は
正直まだ初めて3年程度ですので
どこまで耐えうるのかはわかっていません。
詳しい方がおられましたら教えてください。

そんなわけでまず
シーラーを「塗る→乾かす→塗る」の作業を
2〜3回繰り返します。


写真では変化がわかりにくいですが
ベニヤ板の色が少し濃くなり
木目が浮き出て表面に少し光沢感が出ます。
ここまで来たら次はジェッソを塗っていきましょう。

これがジェッソを2回くらい塗ったものですが
まだ木目が透けて見えています。

ジェッソの種類によっては
不透明性のものもありますが
それでもまだパネルの表面に
木の質感が残っています。

なので木目や木のパネルの質感が
なくなるまでジェッソを
「塗る→乾かす→塗る」の作業を
繰り返していきます。

「塗る→乾かす→塗る」を繰り返した
後のものです。
4〜5回繰り返したでしょうか。
正直この工程はすごく地味で
あまり楽しくはない。
ただ気を抜いて適当にやってしまうと
筆や刷毛の跡が残ってしまい
完成度に関わってきます。
なので可能な限り丁寧に進めていきましょう。

さて、そんな退屈な作業も終えますと
木目も消えてジェッソのざらっとした表面へと変わります。
ここまでお疲れ様でした。

さて前編はここまでり
次からやっとダイナミックな筆の動きを伴う
アートっぽい作業に入っていきます。

お楽しみに!!

〜つづく〜